不法滞在の懲りない面々

『不法滞在の懲りない面々』

タイに行くのには日本人はビザ(査証)は必要ない。滞在が1ヶ月迄で観光目的、往復の航空券を持っていれば入国を許可される。この制度は各国とタイ間で個別に取り決められているので条件はそれぞれ違う。

ここで登場して頂く人物の国籍は韓国と中国ですので、その国々はどうなっているのか、というと韓国は3ヶ月以内の観光目的ならビザは必要ない。

中国はというとビザ相互免除条約はなくて全ての中国人はタイへ旅行する場合はビザの取得が義務付けられている。但し、到着ターミナルにてパスポートと写真、航空券と費用を払うと15日間のビザがその場で発給される。

さてタイにいる日本人、この人達は非常に相手国の法律を守る国民で日本人でタイ国内に不法滞在している人は非常に少ないのではないかと思います。

犯罪を犯して逃げている人、或は日本に帰れない人(例えばお金がなくなってしまった)くらいです。韓国人でビザを取得してタイに滞在している人(合法)は全体の30%にも及ばないのではないかと私は思います。

他の70%の人はどうしているのかというと、3ヶ月の観光目的(ビザ無し)で就業していて3ヶ月の期限が切れそうになると一端タイから出国して第3国に一泊二日、或は、1時間滞在してすぐ戻って来る。そうすると新たにタイに滞在できるという寸法。

これを繰り返して10年、20年いるという人達が大勢いるというのには驚きを隠せない。バンコックから毎日これをするためのバスツアーが組まれていて、カンボジア日帰りゴルフツアー、ラオスカジノツアー1泊2日なるものが出発している。これに参加すれば自動的に遊んでビザクリアー(滞在延長)ができる筋書きだ。

中国人はどうするかというと、これは確信犯

とにかく何でも良いから一度入国してしまって、お金を稼ぐまで絶対に中国に帰らないというスゴイ根性。パスポートも捨ててしまえば、いつ入国したか分からないので強制送還される時に罰金を課せられないだろうと考える徹底ぶりである。

パタヤでは頻繁に不法滞在者取り締まりが警察とトーモー(イミグレーション、入国管理局)の合同によって行われる。乾期の旅行シーズンの前によく行われ、悲喜劇がいつものように繰り返される。当事者にとっては戦線恐々とした季節で、家から一歩も出ない人もいてかわいそうな程である。毎年こんな事になるのは分かっているのだから、しっかりとしておけば良いのにと思うのだが。。。それではその悲劇の一端を紐解いてお話しましょう。

韓国料理店を営む金さんは在タイ5年目である

韓国の団体の店として最近はパタヤでも知られるようになり、シーズンともなれば1日に200名ものお客様への食事の用意をしていた。そこにはタイ人8名、中国朝鮮族の女性1名がいた。金さんは例によって3ヶ月の観光目的のビザ無し。中国朝鮮族の女性はオーバーステイ(ビザ切れ)。店の名義は従業員の名義を借りて許可を取っていた。

そこに警察とトーモーが来た。後で分かった事だが(タイでは警察はタレ込みの相手を教える)同業者の韓国人、趙さんが金さんの繁盛を妬んでの通報だったらしい。後で分かった事だが(タイでは警察はタレ込みの相手を教える)同業者の韓国人、趙さんが金さんの繁盛を妬んでの通報だったらしい。

下された警察、トーモーの仮処分は下記の通り。金さんは資格外活動で罰金10万バーツ。中国朝鮮族の女性は不法滞在で逮捕(ブタ箱に入る)、懲役3年。店はタイ人の従業員によって営業を続ける事は問題なし。

これだけを見ると日本人は大変だなと考えますが、ここはタイ、全ての話には裏も表もあります。地獄の沙汰も金次第、ワイロの金額によって裏の話が始まるのです。ひとつ断っておかなければならないのは、金さんと朝鮮族の女性とは内縁関係にあるという事であります。(所詮夜伽妻です)

金さんはとりあえずお金を作るという名目で留置場から出て、友人の所を回り借金をして警察に戻りました。一週間後、金さん本人から驚くべき結果を聞きました。警察、トーモーの処分が変わったのです。

この事件は中国朝鮮族の女性の不法滞在だけで、あとは犯罪事実はなかったというものです。つまり金さんはその韓国料理店に食事をしに来ていただけである。それから中国人女性の処分も変わりました。国外退去処分。

どういう訳かその女性の退去処分先はラオス。何と金さんはその国外退去処分にされた女性と同じ航空便を予約して同乗、ラオス入国後、陸路にてタイにその日のうちに再入国、めでたくその女性と手に手を取り合って家に戻ったという結末であります。

何と素晴らしい金さんと警察、トーモーの連携プレー、どれひとつを欠いても今回のようなスムーズな流れにはならなかったと思います。後日、いくら使ったの?と聞いたら、警察とトーモーに領収書のない金、各2万バーツだそうであります。

今年、金さんはまた警察、トーモーに捕まりました。

今度はただでは済まないのではないかと、ハラハラしながら見てましたが、その日のうちに金さんと中国朝鮮族の女性は帰ってきました。どうしたのかと金さんに聞いたところ、今回の取り締まりは一斉であるので、金さんの所だけやらないという訳にはいかないので形の上だけ取り締まった。そうすれば他からクレームが来ないだろう。との事。

それで、今回はタダかい?と聞いたら、金さん首を横に振った。いくらよ?と聞くと、彼はVサインをした。もし、弁護士を雇って正規に労働ビザを取って社会保険、決算費用、税金など1ヶ月いくら払わなければいけないか知ってるかい?さあね。。。月間2万バーツだよ。どっちが得かな?そう言われて警察、トーモー、タイで違法に働く人のトライアングルの助け合いの構造が分かったような気がする。持ちつ持たれつなんだ。

おわり