値段は買う人によって違う

『値段は買う人によって違う』

タイにも最近日本のスーパーマ−ケットが進出して郊外では土曜日には大混雑でモータリゼーションの浸透に目を見張る。日本だけではなく、特にヨーロッパ系のスーパーマーケットの進出も著しい、例えばフランス系のカールフール、イギリス系のロータスなどがそれで、民俗系のBIG−Cもからんで流通戦争の真っ只中だ。これからの店は商品にしっかりと値段が書いてある。問題ナイ。

しかし元来タイでは商品は全て交渉によって決められていたのだろう、ふるい市場などに行けば値段は書いていない。

タクシーだって最近はメータータクシーとわざわざことわるように、おそらく数年前まではすべて事前交渉制であったのに違いない。新車のディーラーは違うが、中古車には値段が書いてない。勿論、車の修理やモ−タサイの修理なども値段表なるものを見たことがない。屋台の食堂も価格表もなければメニュー表もない。どうなっているのかこの国は。

否、タイの社会を見たときにハッキリと値段を表示して商品を売っているお店の方が圧倒的に少ない。それに相手が外国人となると必ずタイ人か買う料金の倍は請求してくる。交渉するのはやぶかさではないが、時間がかかるのと、中々タイ人料金にならないので面倒臭くなってタイ人に買って来てくれと頼んでしまう。そうすると今度は間に入ったタイ人がマージンをポッポに入れて『はい、いくらです?』とシャーシャーとした顏でいう。女性も平気でヤル。本当に頭に来る。

タイで物を安く買う時はまずタイ語を喋らないとダメ。英語で話そうが日本語で話そうが彼等からして見れば外国語に違いない。下手でもいいからタイ語で交渉すること。でもきっとタイ人価格にはなっていないと思う。外国人としては諦めるしかないのか。

タイに住んでいる外国人でもこれだから観光客など彼等から見れば赤子の手を捻ると同じなのだろう。観光客から見れば悪いシステムだけれど彼等にとっては100円の物を200円にも300円にも売れるのだから極めて良いシステムと言わざるおえない。

タイ人の中にも不信感はあるらしい。自分が気に入った物を他人が買って持っていた場合、必ず『何処でいくらで買った』かと聞く。おそらくあちこちで情報を集めて安い所に買いに行くのに違いない。タイ人も騙されないように警戒しているのだからボラれたことがあるのだろう。タイ人でさえもそれなのだから多少は仕方が無いと諦めた方が精神衛生上良いのかも知れない。

何故こんなシステムが残っているのだろうか?私は学者ではないので、推測にしか過ぎないが。。。おそらくタイは『村社会』ではなかったか?村のなかでは皆、顏見知りの為に値段を言う必要がなかった。言わなくても分かっていたのだ。そして村の中ではお互いにある程度サ−ビスしたり支払いを猶予したり特別の関係を保っていたのだと思う。

その反対に村の外に対してはその逆の作用が働く。村の中では薄利だが、外からはしっかりと儲ける。強気の商売をしようとする所謂、村独特の仲間には親切、敵には冷たく。村八分精神があったのではないだろうか。

日本でも村社会だった時代があり、私も埼玉県の農村地帯で育ったので何となくそんな匂いを嗅ぎとれるのです。タイの社会には農村の匂いが沢山嗅ぎとれる。例えばデパート。ここで買いたい物があるのだけれどそれについて何処にあるのか、商品の説明をしてくれと言うと、非常に困った顔をする。

レストランでウエイトレスの動きを見ていると一生懸命サ−ビスしているのは分かる。けどどことなく不自然でぎこちない。これらはタイ人がサ−ビス業にむいていないことを意味するのではないでしょうか。アメリカやフランスのレストランに入ってのウエイターやウエイトレスの動き、頭の回転の早さとは雲泥の差がある。

彼等は村社会だからそれらを必要としなかったのに違いない。他人にオベッカを使ったり、相手が何を考えているのか、それを先回りしてこうすれば相手は喜ぶ、そうすればチップを貰える。チップはどうすれば貰えるかなどということは考えもおぼつかない。ニコっとタイスマイルで微笑みかければチップは貰えるものだと思っている。だから男より女のほうがチップを貰えるので女の方が得だと考える。理論の組み立ては非常に苦手のようだ。

ホテルでも同じことが言える。自分の能力が未熟で事務処理が悪く、お客に何分待てせようが反省の色が見えない。夜遅くチェックインすると既に部屋が無い。有るのはひとつ上のグレードの部屋しかない。それでもいいかと聞いてくる。

勿論いいよ、その差額はホテルが持つのだろうねと聞くと否、お客が払えという。嫌だと言うと出ていってくれと言う。自分が悪いのを棚に上げてお客を脅かす。いかにも村社会が考えそうなことではないだろうか。

頭にくるよりも、冗談だろう呆気に取られる方が先。こんな話をタイのいたる所に見られて珍しい話ではない。世界から観光客を受け入れようとする観光立国タイ。こんなおそまつなことでは良くない。政府には善処を望みたい。

終わり