コーヒ−ブレイク
「日本航空」の話
私は学校を卒業してすぐ大手旅行会社に入社した。5年間お世話になったがその5年間は転勤無しでひとつの支店に勤務した。その支店は海外旅行専門店で都内に3か所あったひとつであった。従って旅行会社の社員とはいっても全く国内旅行や外人旅行といった分野は知らずに育った、言うなれば片端者であった。
またその時期は海外旅行の揺籃期にあった為に日々添乗業務に追いまくられ、自分の在籍する支店に顔を出すのは振替休日とか年次休暇、その他決められた休日も有ったので1年の内の半分位ではなかっただろうか。支店には100名を越える職員がいて出勤する度に面子が変わっていて職員全員の顏を覚えるということは不可能だったし、また相手側からもこんな社員がいるのかという顏をされた事が良く有った。
そんな訳で自分の給料を取りに行く暇が無く、いつも庶務課の金庫の中に私の給料は保管されていて出勤した時に数カ月分の給料やボーナスを受け取るのが常であった。今、若い世代の人達には想像もつかない良い時代であった。そんな私が当時最も利用した航空会社が「日本航空」で我社とJALは相互に株を持ち合い非常勤取締役を交換する間であったから団体ができるとナショナルフラッグキャリアーである日本航空を利用するというのは社是に近かった。
会社を辞めて自分の旅行業が会社を営むようになるとJALを利用する機会はぐっと減った。それは旅行費用を安く見せかける為に外国航空会社を利用せざるえなかったからである。以後20年、時々は北海道にゴルフに行ったり、沖縄に行ったりする時には利用させて貰ったが海外旅行という点に限って言えば皆無であった。その私が20年振りにJALに乗ったのである。
それはこんな理由からである。9月に日本に帰国機会があってパタヤの旅行社に航空券を買いに行った。バンコックを朝出発して帰りも日本を朝出発する安い航空券といえば台北経由の中華航空か香港経由のキャセイ航空しか無い。殆どの人がどちらを選ぶと聞かれたら発着時間の正確性、乗り継ぎの利便性、サ−ビスの内容を考えればキャセイ航空になる。
でも今回はキャンペーンと称して日本航空が往復13500バーツ(36500円)、空港税、税金、保険代別で売にだされていた。何とキャセイ航空とは1000バーツの差だ。香港経由より成田直行の方が楽に決まっている。迷うこと無く今回は日本航空を利用させて貰う。実に懐かしく楽しみな気持ちで一杯だ。

9月9日JAL708便バンコック発08:45、ちょっと早いがその分日本に早く着くのだから、まあ我慢しなくては。出発を待って機内で着席していると昨日行なわれたワールドカップ第1次予選の日本の選手達がビジネスクラスに乗り込んでくる。カルカッタからの乗り継ぎであろうか。
ジーコもいる高原も小笠原、藤田、久保もいるけれど伊東と中田、小野がいない。丁度デジカメを持っていたので記念撮影をする。サインを貰っておけばよかったと後になって後悔する。JALに乗ると色々なことに遭遇する。今も昔も同じだなあ。
今も昔も同じものにJL708便の機体もある。これはB−747LRで私が活躍していた時と同じものだ。昔は国内線に使用していたがそれを今、バンコック線に使っているのか。6時間のフライトにこの狭苦しい席のセッティングでは少々疲れる。でも30年を越えた機体の割には良く改修が加えられていてそれとは感じさせない。
更に驚いたことがある。この機体は日本航空のものではあるが運行はJALの子会社JALエアーウエイズが代行している。パイロット、副操縦士、機関士は全て外国人、チーフパーサーは日本人、年配の日本人のスチュワーデスが3名程、他のスチュワーデスは全てタイ人。要するに外から見るとJAL、中から見ると外国航空会社である。
でもJALに敬意を表したいのは良くスチュワーデスの教育をしていることである。殆どのタイ人のスチュワーデスがそんな難しい日本語でなければ殆ど聞き取ってくれて日本式のサービスを提供してくれる。昔からソフトの面には力を入れてきたJALにとって、ようやくここにきて努力が結実されたのだろうと推測する。
以前、日本のバカな運輸大臣がいてアルバイトのスチュワーデスを使っているところは「安全性に問題が有るので運行させない」と言ってひんしゅくを買ったが、今回、日本人だからできるのではなく、外国人にだってできるということを証明してくれて有り難く思う。機内食はヒドイ。確か焼そばかチキンカレーだったか、私は焼そばを選んでみたがとても賞味するという段階ではない。でも私は思う。昔のJALを知っているから不満不平がでるのであって、それを知らなければ世界中のどこの航空会社と比較してもそんなには劣るものでもなければ勝るものでもない。
要するにインターナショナルスタンダードになったのだと。料金だってそうではないですか。往復36500円ですよ。JALだって儲けなければいけないし、そんなサ−ビスすることはできないでしょう。
9月20日JL703便15:45発バンコック行きに搭乗。今度は打って変わってJALのオペレーション、機体はB−747’400。幸いなことにエコノミークラスの航空券でビジネスクラスの席に座らせて貰った(サ−ビスはエコノミー)。スチュワーデスは殆どが日本人(若いとは言っても30歳前後の人が数名、他はロートル)。あいも変わらず下手な英語でスチュワーデスは機内放送をしている。昔とこれも変わらない。JALエアーウエイズの方が英語は上手いではないか。JALも年をとったのだあと痛感させられる。
私の席の隣にタイで工場を持っているという日本人が座った。私と同じ年でバンコックに着くまでの間、親しく若かかりし頃の思い出話などに花を咲かせた。この人、東京バンコック間を114000円で航空券を購入して来たと言っていた。JALは「悟空」という個人割引きの航空券があるがどうしたものかペックス料金なる日本発の航空券を購入したそうだ。事実は定かでは無いが9月20日発がどうしてそんなに高いのか理解できない。私の航空券の代金と彼の航空券の代金の差は恐ろしく大きい。
同じ飛行機に乗って、隣の席に座って、同じサ−ビスを受けて、日本発とバンコック発という差だけなのにこれほどに料金の差がでる。私は45日オープン、彼は7日間フィックスにできないから高いのだと言っていたが、その条件にも差がありすぎる。日本の消費者はもっと怒って良い。

日本の航空業界にバカにされているのだ。高い物を掴まされた挙げ句に条件までも厳しい。彼らの言い分に出発地の購買力とか通貨事情とか言い訳をするだろうが、それでは現地にいる日本人には売らなければ良い。それができないから彼らの言い分は根拠の無いものだと言える。JALの体質、国内の日本人から儲けて海外で安売りをして外国人に利益を還元するという昔からの体質は変わっていないようだ。
否、JALだけではなかろう。
おわり








